11月3日(日)広島CLUB QUATTROで共演するEGO-WRAPPIN'のお二人をお迎えしての対談です。 【文:青木 優/写真:飯村 潤】 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー |
増子直純: 俺はEGO-WRAPPIN’を最初にラジオかテレビで聴いた時に、「こりゃすげえの出てきたな!」と思ったんだよね。すぐ買いに行ったよ! 中納良恵・森雅樹: ええ~っ!? 増子: 最初は「くちばしにチェリー」だよね。あと『色彩のブルース』も買ったし。あのへんは俺だけじゃなくて、みんな買っとる!あまりにもすごくて。 中納: へえー! そうだったんや……。 森: それはうれしいなあ(笑)。 増子: で、いろいろ聞いたら、俺の友達の友達とかと、けっこう近かったりするんだよね?スキンヘッド系のバンドと一緒にやってたって、あのあたりから聞いたの。「いや、EGO-WRAPPIN’って意外と遠くないんだよ」「え、マジで?」って。 森: ああ、はいはいはいはい……そのことは隠してたのに!って、冗談ですけど(笑)。 ――昔はパンク・バンドとの交流があったんですか? 中納: いや、そこまででもないですけど。でも大阪やからな。 森: 考えてみると、その頃から大阪のそういうゴッタ煮イベントによく出てましたね。女性ヴォーカルのイベントに出てるとかは、あんまなかったです。けっこうゴリゴリな感じの、な? 中納: そうやな。それこそハードコアのイベントとかに出さしてもらったりしたな。 増子: だからその話聞いた時には「なるほどな!」と思って。そりゃあ俺らが聴いてもグッと来るわな!っていう。昔から俺らは、自分らの音楽をジャパニーズR&E――<リズム&演歌>つってるけど、日本的な要素を取り入れたものじゃないと意味ないと思ってんだよね。土着的なものとか祭り感だとかさ。で、EGO-WRAPPIN’はそのアウトプットの仕方がすごい高度なんだよね。ちゃんとカッコ良く出てる。しかもEGO-WRAPPIN’みたいなバンドって日本でしか絶っ対生まれないから! いわゆるブルースって言うと黒人ブルースとか白人ブルースだけど、EGO-WRAPPIN’には淡谷のり子的なブルースも入ってるんだもん! 森: 日本でしかできないっていうのは、自分でもなんとなくわかるような気がします。日本におったら、けっこういろんな音楽聴けますもんね。マニアックなもんでも、探せば何かありますし。それは日本という国が、島やからかもしれないですけど。 中納: あえて「日本っぽくしよう」という意識で作ってるわけではないんですけど、でもやっぱりそうなってしまいます……よね(笑)。あとは日本って、まあ大阪とかとくにそうなのかもしれないですけど、ちょっと郷愁っていうか、ノスタルジックな(感覚の強い)国のような気もしてるんですよ。DNA的にそういうのが入ってしまってる感じはありますね。だからおのずと、そういうメロディに惹かれたり、そういう言葉に惹かれたりするクセがあるんですよ。それで(EGOの音楽も)そうなってるのかな、という気はしますけど。 増子: そういうところがいいんだよね。あとは歌だよね! やっぱり圧倒的にすごいじゃない? 俺、高校生の時にレベッカ出てきた時にビックリして! 女の人でこんなパワフルに歌を唄う人いるんだ!?って思ったの。 ――レベッカですか? NOKKOさん? 増子: そうそう!もう俺なんかやってもしょうがねえな!と思って……何でそこで比べてたのか、よくわからないんだけど。しかも俺、当時ハードコアだったのに(笑)。 中納: あははは! 増子: それ以来の衝撃だったね! それもカラオケで唄うとよくわかるんだよ(笑)。あのさ、スキルっていうか、腕を見せるためにフェイクやる人いるじゃない? あざとーい感じの、聴いててイラッとするタイプなんだけど、(中納さんは)ああいうんじゃないんだよね! 自分の唄いグセでフェイクなんだよね。全部。だからカラオケ、絶対唄いづらいの(笑)。「これは天性のものだな」ってわかったの。それで自分らで音楽やってると、圧倒的なものに出会うことって、そうそうじゃないのね。聴いてると「ああ、ここ、もうちょっとこうしたらいいのにな」「ああ、俺だったらこうするのに」みたいなのって、必ずあるの。それがまったくない! 全肯定ってのはさ、俺の今までの中だとクレイジーケンバンドとEGO-WRAPPIN’ぐらい。とにかく俺はEGO-WRAPPIN’大好きよ! 何回か観に行ってるし、イベントとかで一緒になったら必ず観てるし。 ――増子さんの気持ちはよくわかりました(笑)。じゃあ2組の初対面はいつだったんですか? 増子: さあ、最初はどこで会ったかなあ……?ちゃんと話したのは、こないだの大阪のマーキーさんのやつかな?(注:2012年8月29日に大阪城ホールで行われたDJのマーキー氏の還暦を祝うイベント) 中納: ああー、そうか! 森: うん、そうですね。 増子: その前はRISING(=RISING SUN ROCK FESTIVAL/北海道の夏フェス)で会って、話しかけたことあるけどね。俺、ベロンベロンに酔っぱらってたけど(笑)。 森: (笑)そうなんですよ。僕はそん時、怒髪天はもちろん知ってて、でもしゃべったことないし、だから「あ、増子さんや」ぐらいの感じやったんですけど。増子さんがけっこう会釈してくれてたんですよ。前から。 増子: なにせ好きだからね!「あ、いた!」と思って(笑)。 森: ほんとに俺にしてくれてるんかな?と思って後ろを振り返るぐらい、やってくれてたんですよ。 増子: 「ああ、どーもどーも!」つってね。酔っぱらってると楽しくなっちゃってるから「おっ!いた!」と思って。そっから何回か「あ、どうも」みたいな感じで、それでこないだのそのマーキーさんのイベントのあとに……あの時もしこたま酔っぱらってたから、そこでちゃんと話して(笑)。あとは「風とロック」のイベントだね。 中納: あ、そうですね! 増子: そうそうそうそう。あれでふたりと話させてもらったんだけど。俺としてはもっと話したいんだけどさ、何つうのか……酒呑んで「ウィ~ッス!」って感じじゃないじゃない? ふたりとも。「これ、あんまりからんでくのも迷惑かな?」と思って。 中納: (笑)いえいえいえいえ、全然全然! 森: からんでくださいよ!(笑) ――そういうお酒の席では、どんなことが話題になったんですか? 増子: いや、「俺はすごい大好きだよ」って話はしたと思うんだけど。なんせ酔っぱらってたからね(笑)。「一緒にやりたいから誘わせてくれ」って話はしたと思うよ。 森: うんうん。すごい、そう言うてくれた感じはありましたね。 増子: いや、ほんとうれしかったな。まず、しゃべれたのが、ちょっとうれしかった! 中納・森: い、いやいやいやいや……!(←恐縮中) ――その時、中納さんたちも酔っぱらってたんですか? 中納: 酔っぱらってたかな……? 森: 酔っぱらってたとしても、増子さんしゃべってたら、酔いが醒めていきますよね(笑)。 増子: (笑)はるか上を行く酔っぱらいだからね。そもそもね、自分らのイベントでバンド呼ぼうって話になる時に、もう何年間挙がってんの?ってぐらいEGO-WRAPPIN’は名前が出てて。 森: ええ~っ! 増子: そう! でもスケジュール調べると、「ああ、ダメだこりゃ(予定が)当たってるわ」「ツアー中でちょっとムリなんじゃないの?」みたいなのがあったりして。だから今回、やっとなのね! 中納: へえー、そうだったんですね……ありがとうございます(笑)。 増子: しかも今回のシングルの「どっかんマーチ」っていう曲も、気持ち、EGO-WRAPPIN’イメージっちゅうかさ。このリズムの♪ドッタドッタドッタドッタ……ってやつ、うちのドラムに「EGO-WRAPPIN’みたいにやってくれ」って何回も言ったんだけど、なかなかならない! 中納・森: あははははは! 増子: 祭り囃子みたいになっちゃってる。これ、花火の曲で、景気いい感じなんだけど、何回やってもちょっと違うんだよね。やっぱやる人違うと違うのかな?っていうさ。まあ俺が唄ってもだいぶ違うんだけど。村祭りみたいになっちゃったんだけどね(笑)。まあ、それはそれでしょうがないかっていう。 ――EGOのおふたりは、怒髪天のことはどんなふうに? 森: 僕、増子さんはテレビで……えーと、あの……。 増子: 夜中の? 『音流~OnRyu~』? 森: そう、夜中の!あれ、けっこう毎回観てたんですよ、僕。あのコーナーが好きで。 増子: 演歌の? 森: (笑)演歌のコーナーです!そっからですよ、僕、入ったの。で……BRAHMANともやってましたよね? 増子: TOSHI-LOWも昔っからよく知ってるからね。そういえばTOSHI-LOWと一緒にやったでしょ?(注:2010年、BRAHMANとのコラボ・シングル「SURE SHOT」) あれん時、ほんとハンカチ噛んだもんね!「TOSHI-LOW、この野郎!」と思って(笑)。 森: (笑)で、昔はもっとハードな音楽やったと聞いたんですけど、今はドリフとかクレイジーキャッツのようにコメディ入った大衆的なロックやなと、素直に感じましたね。日本を救うなと思いました(笑)。 中納: うん、そういうのがあるよね(笑)。 増子: ずいぶんデカい締め来ちゃったね(笑)。まあクレイジーキャッツとかドリフとかは、ちっちゃい頃からすごい好きで、そこらへんから流れて音楽にも入ってきたからね。楽しいことの中にも哀愁が、ブルースがあるっていうさ。さっきも話に出たけど。 中納: うん。うんうん。 増子: ドリフのアルバムとか聴いても、涙が出てくるもんな。明るいんだけど、その底にペーソスがあってね。あれはやっぱ歳を重ねないとできないことでもあるんだよな。音楽でも。 中納: そうですよね。私も(怒髪天は)フェスとかで見させてもらったりして、やっぱりお祭りなイメージはあったんですけど、でも「昔はやんちゃやった」みたいな噂も聞いたりして(笑)。 増子: (笑)若さゆえのね。 中納: で、そういうのを経て、増子さんらが今こういう感じでやってるのは親近感が湧くっていうか、そらぁみんな好きになるやろなって思います。いいですよね!「楽しいなあ」と思って。 増子: うれしいねえ。 中納: でも「怒ったら怖いんやろなぁ」と思って(笑)。 増子: (笑)でも、そうそう、もう怒らないね。歳も歳だから。だから(EGOとは)相通じるものがあると思ってるんだよね。ジャンル的には離れてるかもしんないけど。一般的にはオシャレな音楽だと思われてるかもしれないけど、でもお上品じゃないんだよね。もっと土着的っていうか、情念的っていうか……それできるバンド、なかなか今、いないからね。これはスケール含め、だよ。1曲聴いただけで1本映画観たみたいな気持ちになれるっつうか。 中納・森: うん、うん……。 増子: あと、いろんなものが狂ってると思うんだよ、EGO-WRAPPIN’って。それ、すごいと思うよ。渋さ知らズに近い狂い方あると思うよ。俺ん中ではね。 ――狂気をはらんでいるということですね。 増子: 狂気をはらんでるね! でも人間って本来そういうもんじゃない? そこをコーティングしてないっていうか。それはやっぱすごいよね。独特だよね! ――EGO-WRAPPIN’は怒髪天から声をかけられて、どう思いました? 森: うれしかったですね、俺は。「認められてんな」っていう感じはしましたよ(笑)。ほんまに。 増子: そんな!みんな大好きだから。 中納: (笑)また全然違うタイプやし、それがよけい面白いなって思いましたね。もらえるもんもいっぱいありそうやし。違う同士やから面白いんちゃうかな?っていう。そこにすごく惹かれました。だから、すごい楽しみなんですよね。どういう化学反応が起きるんかな?と思って。 森: でもステージ上の増子さんとよっちゃんのキャラクターって、若干かぶるような気がしますね。まあ今のよっちゃんはこんなおとなしめの感じですけど、ステージに上がるとワッショイワッショイ的な感じがあって。それは怒髪天、増子さんの感じにつながりますよね。 増子: 通じるところあるよ。俺が植木等なら(中納は)笠置シヅ子だよ。 森: ……あ! その感じ! それが言いたかったんです(笑)。 増子: そういうふうに、一緒にやって楽しもうって思ってくれてるわけでしょ? こんなありがたいこと、ないよ! まあライヴの当日は、EGOのお客さんに怒られないように頑張るよ(笑)。うちのお客さんは間違いなく、100パー好きだと思うから。 中納: 私らのお客さんもワーッ!ていうのが好きな人、多いと思うんですよ。とくに広島にはお祭り好きの人が多いと思うし。でも、ほとんど怒髪天のお客さんばっかりやろし、そこにちょっと乗っからせてもらうっていう感じですけどね(笑)。 増子: いやいやいや! そんなそんな(笑)。逆転現象が起きると思うよ。順番的に、俺らあとになったらやりづらいよね、すごく。とくに歌ね。 中納: いえいえいえ(笑)。 増子: 「お前、よくこのあとで唄えるな?」みたいなね。そこを逆手に取ってかなきゃいけないかなっていう(笑)。でも、こればっかりはしょうがないからなあ。今から練習したって、ある程度でしょ? ――「怒髪天が対バンだから、こういうセットリストにしよう」と考えたりします? 中納: そうですね! そういうのもあると思います。 森: うん、あると思います。それがまた楽しいんですよね(笑)。 増子: そう、面白いね。将棋じゃないけど、お互い「じゃあ、これはこっち」「じゃあ、こう行って」みたいにさ(笑)。いい試合になるといいね!広島だし、カキもちょうどいいぐらいの季節じゃない? 中納: ああー……カキ、めっちゃ好き! 森: (笑)大好物ですね。 増子: よっしゃ!うまいカキを食べるために頑張ろう!(笑) |
DOHATSUTEN三十路(ミソジ)まえ 七色の虹をかける野郎ども 2013年11月03日(日)広島 CLUB QUATTRO 出演:怒髪天 / EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX 開場 17:00 / 開演 18:00 前売:¥4,500(Drink別)/ 当日:¥5,000(Drink別) チケット発売中! info. YUMEBANCHI(広島)082-249-3571 |
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